個人信用情報機関であるCIC、JICC、KSCとの違いを徹底比較。

目次

個人信用情報機関の設立

日本の信用情報機関

日本には3つの個人信用情報機関が存在します。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

それぞれに加盟してる企業団体が設立したものです。加盟している業界団体の拠り所となる堀津が異なり、登録されている情報も3機関で異なっています。

例えば、消費者金融は貸金業法、信販会社は割賦販売法、銀行は銀行法と監督する法律が違います。

また、加入している団体の登録情報は個人情報保護の観点から非会員の企業が照会することが出来ず、情報共有するために、CRINとFINE が、続いてIDEAが設立されました。これは異なる団体間の情報をネットワークで結んで、共有できるるようにしたものです。

3機関が設立された背景

機関設立以前の消費者金融市場は高金利で、高度成長時代と共にクレジットカードによる消費や、住宅ローンの利用、消費者金融業界の利用増大に比例して、多重債務問題が深刻化しました。

各会社が、個人の信用情報を管理するだけでは、返済能力の把握やカードの不正使用、貸倒リスクなどで個人の与信判断を下すことが限界となっていました。

そこで各団体が情報を共有すべく、CIC、JICC、KSCをそれぞれ立ち上げました。

CIC・JICC・KSCの登録情報比較

3機関の主な会員と情報開示費用及びその登録内容は以下の通りです。

スクロールできます

CIC
株式会社シー・アイ・シー
JICC
株式会社日本情報機構
KSC
全国銀行個人信用情報センター
主な加盟企業クレジット会社、信販会社、百貨店、流通系クレジット会社、携帯電話会社
消費者金融、銀行、クレジット会社銀行、信用保証会社
登録期間5年5年7年
開示に係る諸費用1155~2050円
定額小為替証書代等含む
1000~2100円
一般書留・本人限定含む
1000~1800円
コンビニ申告手続利用券含む
郵送/オンライン〇/停止中〇/〇〇/〇
開示に要する期間10日前後当日~10日前後当日~10日前後
設立1984年1986年1988年
本人識別情報(属性)
契約に関する情報
支払に関する情報
割賦販売に関する情報
貸金業法の登録内容
月々入金状況
加入申込情報
会員利用記録
官報情報
本人申告情報

CIC の特徴

CICはクレジットカード会社が加盟の中心であることから、クレジットカードに関する登録が中心に記録されています。特に、割賦販売法や貸金業法の登録内容が記載されていること、過去2年間の支払い状況が月単位で見ることが出来ます。

そして最大の特徴は、個人の信用情報を数値化したクレジットガイダンスと言えます。これはCICが持つ信用情報を統計分析に基づいて「指数」化してその「算出理由」を最大4つまで提供するサービスで、2024年11月より個人向け、2025年4月より会員企業向けに提供されています。

スコアは200~800までで示され、数値が高いほど信用度が高いと言えます。

また、開示請求にあたっては、本人なりすまし請求が発覚後、現在郵送のみでの手続きとなっています。(2025年6月26日現在)

JICCの特徴

JICCは貸金業者が多いため、消費者金融やカードローンに関する登録が中心で、最も加盟者数が多い機関です。

JICCは開示請求にアプリを使っている唯一の期間です。請求にあたっては、マイナンバーカードとマイナンバーカード作成時に登録した署名用電子証明書のパスワードによる本人照会が必要になるので、セキュリティーも考慮されています。

開示された資料はファイルDとファイルMで表示されます。ファイルDは主に消費者金融やクレジットカードからの借入に関する情報が記載されています。ここに記載されている債務残高が貸金業法の総量記載のチェックに使われる重要な指数となります。

ファイルMはショッピングをメインとした、クレジット利用に関するデータが記録されています。月々の支払い状況や利用残高が頻繁に変動するため、毎月データが更新されます。

KSCの特徴

KSCは銀行からの借入や契約内容に特化した情報です。CICやJICCが所有していない官報情報や本人からの貸付自粛情報なども記載されています。銀行は、都市銀や地方銀行だけでなく、窓口のないネット銀行なども含まれます。

また、KSCはCICやJICCよりも登録機関が長く7年となっていますので、銀行からの融資を受ける際は、過去に異動情報がある方は、事前に請求して確認しておく事をおすすめします。

3機関の相互交流ネットワーク(CRIN/FINE/IDEA)

CIC・JICC・KSCにはには、所有している登録情報が異なることから、多重債務問題が深刻化すると、過剰融資を防ぐために、3機関が連携して情報を共有する必要性が出てきました。

1987年にCRIN(Credit Information Network)のシステムが構築され、主に延滞などのネガティブ情報を相互交流できるようになりました。

その後、2006年には多重債務問題がより深刻化したため、貸金業法が改正され、総量規制が導入されました。これにより、正確な借入残高を知る必要性が高まり、CICとJICCとの間で、FINE(Financial Information Network)を構築。但し、KSCは「指定信用情報機関」の指定は受けていないため除外されています。

債務残高や支払い状況の把握により、多重債務問題に一定の成果は得られたものの、金融機関が個人のより詳細な債務状況の把握や貸倒リスクの低減のため、貸金業者からの借入だけでなく、クレジットカードのショッピングやキャッシング利用状況や他社の銀行からの借り入れなど、与信審査の際に業界横断的に総合的な債務状況を把握するニーズが高まり、IDEA(Information Deta Exchange Association)を構築。

CIC、JICC、KSCの3者間で相互に個人のすべての債務状況がネットワークを通じて、すべて把握されるようになりました。新規で借り入れをする際は、正直に申告しておかないと、他社の状況が筒抜けになっているので、与信審査に影響が出てきます。

3機関の情報交流が意味するもの

与信審査のリアルタイム審査が可能

銀行、消費者金融、クレジット会社等の情報共有が進み、個人の信用状況が丸裸になり、与信審査における適切な貸付額を判断し、審査のスピードアップが可能になります。

また、膨大な信用情報をAIが分析し、与信審査の自動化がより進むことになるでしょう。また、信用状況の数値化で個々人のリスクに応じた、新たな金融商品が開発されるかもしれません。例えば、クレジットガイダンスで高得点のスコアであれば、より多額の資金を低金利で融資するなど。

金融サービスの多様化

リアルタイムでの信用状況が把握されれば、信用力が向上した顧客に対して特別金利での融資や、新規申し込みの手続きの簡素化が可能のなります。逆に信用状況が悪化した場合に融資限度額や金利の見直しが法律の範囲内で個人ごとに管理される可能性もあります。特に海外で一般化しているスコアの利用は、その用途が日本でも広まるでしょう。

多重債務の機会低減

短期間で、複数の融資を申し込んでも、システムにより即時に感知されれば、多重債務の機会が低減され、貸倒等のリスクも減らすことが可能になります。また、金融機関側からも、融資に対するアドバイスや注意喚起を申込時に提案が可能です。金融機関の健全な経営にも寄与するでしょう。

業界全体の連携と異業種との競争

銀行が消費者金融の借り入れ状況を知り、クレジット会社が住宅ローンの状況を把握するなど、業界全体の信用状況を網羅的に把握する事が可能になります。

さらに、eコマースなどの電子商取引やIT企業などが自社のデータやサービスを個人信用情報と組み合わせて新たな、サービスの提供ができるようになるかもしれません。これは異業種との競争の可能性が出てきます。

しかし、これらは、個人信用情報を取扱うことになるので、情報の漏洩には十分に注意を払う必要があります。また、不正利用を防止するセキュリティ対策もしっかりしておく必要があります。

まとめ

1.個人の信用情報を扱う機関はCIC、JICC、KSCの3機関が存在する。その登録内容は加盟している団体の違いで異なっている。

2.改正貸金業法の総量規制により、業界横断的に情報の連携が必要になり、ネットワークを構築する。

3.ネットワークで共有する情報を拡大した結果、3機関相互に情報の共有化が進む。

CIC・JICC・KSCは業界ごとに設立した機関であるため、登録される情報が異なることはお話しした通りです。業界内では、ネットワークを通じて相互に情報を共有できますが、個人で情報開示請求するには、その機関に登録されている情報しか開示できません。もしすべての情報を把握するには3機関すべてに開示請求するしかないのです。そうすると費用も3倍ほどかかります。

だから開示請求する際には、どの情報が欲しいのかを確認したうえで手続きをする必要があります。手続きに際し、どの手段で請求するかにより、手数料が異なりますので、早く安く請求するには、オンラインでの開示がおすすめです。但し、入手したデータは自分のパソコン等にダウンロードする必要があります。そのダウンロードできる期間も期限がありますので、入手したら速やかにダウンロードして保存することをお勧めします。

また、機関別に開示請求手順の実際については別途記事を更新しますので、そちらをご覧ください。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次