債務整理中の収入アップ術|転職と副業どっちが正解?メリット・デメリットを徹底比較

債務整理を考えている方は、返済のために手っ取り早い副業か将来を見据えた転職か判断に迷うことでしょう。ここでは、債務整理にあたっての転職と副業のメリット・デメリットを徹底解説します。

目次

収入アップに有効なのは転職か?副業か?

本業の収入だけでは、借金の穴埋めが苦しい時がありませんか?特に想定外の出費で、予算がないのに費用を捻出しなければならない機会もあるでしょう。支出を減らすのは既にやっているので、これ以上の支出は難しい。そうなると収入を増やすしかなく、転職か副業も選択として上ります。副業が本業を続けての収入アップなので確実ですが、会社によっては禁止されていることもあり、手を出せない人もいるでしょう。ブラック企業など長時間労働や休日出勤が常態化している会社などは、副業する体力や時間的余裕もありません。

結論から言えば、選択すべき債務整理手段個人の置かれた状況によって決まるのです。

「転職」は収入の大幅なアップや労働環境の改善に寄与しますが、「収入の安定性」を裁判所に認めてもらうリスクがあること。

「副業」は本業の安定を維持しながら収入の上乗せができますが、就業規則違反となったり返済額の増加のリスクがあること。

通常の転職や副業と違い、債務整理手続きが絡むので自己判断だけで決めず、依頼する弁護士や司法書士(以下弁護士等という)と相談しながら二人三脚で解決する方が望ましいのです。

安易な転職や副業をお勧めしない理由

1. 「転職」のメリットとリスク(債務整理の観点から)

メリット

  • 借金の根本原因(低収入、ストレスの多い職場環境)を解決できる可能性があります。
  • 副業より大幅な収入アップが期待でき、返済計画(特に任意整理)が楽になることに。新入社員からの賃上げと違い、ベースの給与体系が異なるため、収入増が期待できます。

長時間拘束されて労働しているにもかかわらず収入が低い。また営業手当など一律の手当支給のみで残業がつかず、サービス残業をやらざるを得ないなどの労働環境改善になる場合が多いです。また収入が変わらなくても労働時間の軽減があれば、その分の時間を別に振り替えることも可能に。

デメリット

  • 個人再生での「安定した収入」認定: 転職直後は「安定性が低い」と見なされるリスクがある。最低でも給与明細1〜2ヶ月分と雇用契約書での証明が必要。
  • 収入減のリスク: 転職が成功するとは限らず、かえって収入が下がる、または無職期間が発生し、手続き自体が頓挫する危険性があります。
  • 退職金の扱い: 自己破産や個人再生では、退職金(見込額)も資産として計算されるため、転職(退職)のタイミングが手続きに影響します。逆に契約社員から正社員の場合などは退職金が見込める場合メリットになる。

裁判所では特に「個人再生」などは収入の安定性を見て返済可能かを判断します。収入に波があると手続きの認可が得られない場合も。

2. 「副業」のメリットとリスク(債務整理の観点から)

メリット

  • 本業の「安定した収入」を維持したまま、収入を上乗せできる。個人再生の審査において本業の安定性は非常に強い。
  • 転職活動のような大きなリスクや労力を伴わずに、すぐに収入を増やせる可能性がある。

労働収益型の副業は隙間時間に応じた収入となるため、働いた分の収入となる。何かしらのスキルがあれば高収益も可能。

デメリット

  • 就業規則違反のリスク: 就業規則で禁じられている会社で、副業がバレて懲戒処分(減給、解雇など)を受ければ、本業の「安定した収入」を失い、債務整理は破綻する。
  • 個人再生での返済額増加: 副業収入も「総収入」として計算されるため、裁判所の判断によっては最低弁済額が上がり返済総額が増える可能性がある。
  • 体調管理: 無理をして本業に支障が出れば本末転倒。

収入が増えると収める税金も増えます。問題は会社員の場合は特別徴収がほとんどなので、副業分の住民税が会社に通知されてばれるケースがほとんどです。この場合は副業分を「確定申告」を行い、追加分を普通徴収にしておく必要があります。関連記事はこちら

ケース別判断事例で見る最適解

ここでは理解を深めるために一般的なケースを例示しながら、タイプ別に解説していきたいと思います。

ケース1:「転職」を優先すべき人

  • 現職の給与が低すぎて、どう計算しても債務整理後の返済原資が捻出できない人。
  • 現職の長時間労働やストレスが原因で浪費・借金を繰り返しており、環境を変えないと再発する可能性が高い人。
  • (行動指針)→ まず専門家に相談し、個人再生なら「申立て前」に転職を完了させ、安定性を証明できる準備をする。

このケースでは、労働環境に起因した問題が原因の場合です。契約社員や派遣社員など、正社員待遇を受けていない方に多く、時給換算の給与体系のため毎月の給与が安定しません。体力があれば掛け持ちでの長時間勤務でカバーすることも可能ですが、それでも稼ぐ金額に限度があります。

ケース2:「副業」を検討すべき人

  • 本業の雇用は安定しており、会社(就業規則)も副業を許可している人。
  • 返済計画に対し、「あと月2〜3万円」あれば余裕を持って返済できる、という人。
  • 転職活動のリスク(収入減や無職期間)を負いたくない人。
  • (行動指針)→ 必ず就業規則を確認。確定申告が必要な額を稼ぐ場合は、税金面も考慮する。

まずは「副業」が禁止されていないかを確認してください。「副業」での年間収入が20万円を超える場合には、年末調整とは別に「確定申告」する必要があります。その際に申告書に普通徴収で支払う欄にチェックを入れることをお勧めします。これで住民税の通知書が自宅に届くので、別に払えば会社に副業分の住民税の通知がいきません。

ケース3:どちらもすべきでない人(手続きに専念)

  • 自己破産(同時廃止)を希望しており、下手に収入を増やす(または転職で退職金をもらう)と管財事件になり、費用が増える可能性がある人。
  • すでに個人再生の手続きが裁判所で開始しており、今から収入状況を変えると手続きが複雑化・長期化するリスクがある人。

すでに手続きを開始している方が該当します。この場合は裁判所の判決や認可が出るまでは行動を起こしてはいけません。裁判所を通さない任意整理は問題ありません。

まとめ

結論の再確認: 債務整理における収入アップは「転職」「副業」どちらも一長一短。あなたの状況と目的に合わせて使い分ける必要があります。

守るべき鉄則:

  1. 隠さない: 専門家には「転職したい」「副業したい」と正直に全て話す。
  2. 焦らない: 専門家のアドバイスに基づき、最適なタイミング(手続き前か、認可後か)で動く。
  3. 本業をおろそかにしない: 債務整理の基盤は「安定した本業収入」。副業で本業を失うのは最悪の選択。

行動喚起:

  • 収入を増やしたいという前向きな気持ちは、生活再建の大きな力になります。
  • しかし、その行動が債務整理の妨げになっては意味がありません。
  • まずは無料相談などで、あなたの借金の状況とキャリアプラン(転職・副業)をセットで専門家に相談し、最も安全で確実な再スタートの方法を見つけましょう。

債務整理が絡んだ「転職」や「副業」をするには、裁判所の判断に影響を及ぼしますので、決して自己判断することなく、弁護士等の意見を聞き、行動に移すことが大事です。うまく「転職」や「副業」が出来れば収入が増えるので、返済期間が短縮し早期解決への道も。 また弁済後も続けることができれば収入が増えた分を貯蓄に回し、「生活防衛資金」に充てることが重要。5年から7年程度は新たに融資やクレジットカードの申し込みが出来ません。その間にも突発的な出費に備え蓄えておくことは大事です。是非消費から貯蓄に目を向けて意識を変えた行動を。そうすればその後の生活も大きく変化するでしょう。

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