債務整理中に副業しても大丈夫?
クレジットカードでの買い物や消費者金融からお金を借りたりして、気づけば借金が膨れ上がっている。新たな借金が出来ず、月の支払いも滞りがち。会社の収入はすぐには増えないので、支出を減らすもののこれ以上は限界。債務整理に解決策を見出すしかない。何とか借金を返済する方法はないものだろうか?
そんなあなたには、借金の返済方法の一つに副業で収入を増やす道があります。副業は全員ができるわけではありません。職種によっては副業を禁止されているところもあります。ここでは副業ができる人を対象にいくつかの注意点を守れば借金問題の有効な解決手段となることについて話していきます。
副業が解決策に導く理由と注意点
副業での収入が借金問題の解決策となるのかその理由についてみていきましょう。
副業が解決策となる理由
本業以外の収入源が増えるので、手元に残るお金も増えることになります。当然生活に余裕も生まれます。この増えた収入を返済に充てることで返済金額が増え、手数料以上に返済すれば、元本がその分だけ減り返済期間の短縮が見込めます。精神的にも負担が軽くなります。特に任意整理の場合には、月々の返済金額が固定しているので、手取りが増えることに。さらにその資金をプールすることができれば、債務整理後の生活再建に向けた準備もできます。
副業の注意点
収入が増えることで、返済の可能性が見込めることは大きな点です。しかし注意しておくべき点もあります。債務整理の種類によっては収入の報告義務が生じます。さらに所得が増えることで、税金も増えることに。それが本業の会社にばれる原因にもつながり、副業が逆効果になる場合もあるからです。
債務整理の種類による具体例と対策
債務整理にはいくつかの種類があります。任意整理、個人再生、特定調停、自己破産です。負の影響が大きい順に解説していきます。
1.自己破産
自己破産は返済不能で、裁判所に申し立てて返済を免除してもらうことです。破産手続きを開始した場合に副業で収入が得られると、その収入に関して報告の義務があり「破産財団」に組み入れられます。そして「破産管財人」が管理することになるのです。専門用語なので分かりやすく説明すると、破産者が所持している財産を返済資金とし、裁判所が選んだ「破産管財人(通常は弁護士)」が換金して債権者に分配します。もし、副業収入を隠したりした場合、最悪「免責不許可自由」となり自己破産できない可能性も。これでは意味がありませんし、そもそも自己破産は借金を全額帳消しにする方法なので、副業をする必要性が低いわけです。
しかし「免責許可決定」の判決が出ると収入の報告義務はありませんので、問題ありません。生活再建の資金として貯金しておくことが大事になります。
2.個人再生
個人再生は借金の返済が困難になった場合に裁判所に申し立てて利用する民事再生の一つです。手続き中は、副業の収入も含めて「再生計画」が立てられます。収入の報告義務はあります。もし20万円以上の収入があるのに申告しない場合、最悪「再生計画」が裁判所に認められない可能性があります。
3.任意整理
任意整理とは裁判所を通さずに、貸金業者と個別に交渉して、将来利息をカットして長期に分割払いをする方法です。裁判所を介さないので申告の義務もなく、個別に認められた返済を続けていれば、手取りの収入が増えても何の問題もありません。もちろん返済金額を増やして返済を早めることは可能です。
4.特定調停
特定調停とは簡易裁判所の調停委員を介して、債権者との「返済計画」について話し合う方法です。先述の任意整理に似ています。収入の報告義務はなく、「返済計画」に影響することはほぼありません。増えた収入を資源として返済に多く充てることは可能です。
会社に副業を知られないために
会社によっては副業を禁止したり許可制にしているところもまだ多いかもしれません。年間20万円を超える収入があった場合は確定申告が必要になります。会社に副業がばれる大きな原因は「住民税」にあります。会社からは特別徴収として会社から住民税が天引きされます。副業による収入も、住んでいる市区町村に反映されて課税対象に。何もしないと本業と副業の収入を合算した状態で住民税が計算され、本業の会社に通知されます。会社の経理担当は金額が違うことを不審に思い、副業の存在がばれてしまいます。
これを防ぐには、年間20万円を超える収入があった場合には「確定申告」の際に、申告書の第二表「住民税関する事項」の欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択すればよいのです。これで副業分の住民税の納付書が自宅に届き、会社に通知が行くことはありません。ただしこれで完全にばれないという訳ではありません。会社のパソコンで副業したり、SNSの投稿などで特定されるなど別の原因で発覚する可能性もあるので注意が必要です。
また、副業で年間20万を超える収入があったにもかかわらず、確定申告をしないと無申告加算税や延滞税が発生します。手取りを増やして返済を減らすのが目的なのに、ペナルティーを払うのでは本末転倒であるだけでなく、税金の滞納に関しては正当な理由なく免除や減額はありません。
おすすめできる副業
本業と別に副業するのですから、負担がかかります。体力がある人であれば単純労働であるアルバイトでも構いません。外では知人や会社の同僚に知られる恐れがあれば、在宅ワークがおすすめ。パソコンが1台あれば、クラウドソーシングを利用したり、ココナラのように技能があればスキルを売ることも。メルカリなどで不用品を売ることもできます。自己アフィリエイトも短期間では有効ではないでしょうか。
借金の返済が目的ですから収益までに時間のかかる副業はお勧めできません。
債務整理のための副業で収益を得る恩恵
債務整理の手助けとして副業をすることは十分有効です。収入が増えることで手取りが増え、生活に余裕が出ます。ただし、気を付けるべき点もあります。
- 自己破産の場合は「免責許可の決定」が出るまでは控えた方がよい。
- 裁判所を通す整理方法は収入を報告する義務があること。
- 所得が増えることで住民税から会社に副業がばれる。
- 年間20万を超える収入は確定申告が必要。
上記の注意点に気を付けて副業を行えば、返済期間の短縮化が見込めます。さらに債務整理を行うと個人信用情報機関の異動情報として記録される(ブラックリスト)ことから、新規での融資の申し込み、クレジットカードの利用が一定期間は出来ません。そのため完済したら生活再建のための生活防衛資金として、副業収入を貯蓄することをお勧めします。もし副業で本業にないスキルアップができるのであれば、それは怪我の功名として、その後に人生に役立ててください。

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