借金増加の根本原因を特定し、再出発に向けた道しるべ
膨らんだ借金の解決には、出来るだけ早く弁護士や司法書士(以下弁護士等と言う)への相談が大事ですが、同時にその原因は何だったのかを、知っておくことが大事です。
同じ過ちを繰り返さないためにも、その根本原因に向き合ったうえで、解決策を考えねばばりません。客観的に自己分析を通じて、生活が維持・持続できるかどうかを見極めておく必要があります。ここではその解決策を原因別に見ていきます。
そもそも借金が膨らんだ原因は、人それぞれ違いますし、その対策を取らずに債務整理しても、借金は減りますが、再発する可能性があります。さらに、一度債務整理した後での再整理は難しく、自己破産を選択した場合などは、免責後7年間は再度の自己破産が認められません。
また、コロナ禍以降の収入減で副業に手を出す方が増えていますが、安易に副業に手を出すことで、借金を増やす可能性があります。安易に、簡単、誰でも高収入などのキーワードが並ぶ広告は、自身にとって安全な物であるかを慎重に判断すべきです。
例えば、リボ払いを繰り返して、気づかないうちにカードの利用限度額を超えた場合、翌月に一括請求を求められて、初めて青ざめるなんてことにもなりかねません。
失業やリストラで給与収入が減ったことで、副業として危険な情報商材などに手を出し、高額な契約を借金して購入するも、粗悪品で収入に結びつけられず、さらなる借金を増やしてしまう等、詐欺まがいの手口もあります。
ここでは、謝金が増えた複数の原因と危険な副業について解説して、それぞれの原因に対する解決策と再出発のために安全な考え方を提示するとともに、問題解決の糸口を支援したいと思います。
リボ払い多用の罠
リボ払いに隠された多額手数料
現金がなくても、気軽にショッピングで利用できるリボ払いは、月々の支払いを楽にし、新たな購入でも支払額が大幅に増えることがないため、借金の総額が増えている実感がわかず、ついつい新たな利用をしがちです。
しかし、月々の利用回数が増えることで、結果として高額な手数料を支払っている事実に気づかなくてはなりません。特に支払い初期は元金(購入代金や借り入れ金額)の返済ではなく、手数料の方が高いことを知っておくべきです。
なぜ、手数料が多くなるのか?
これは返済金額が一定(元利定額方式であることが原因です、月々の返済金額が少なくて済むのがメリットですが、元金の返済が長引くことで、残っている元金残高に対して手数料が掛かり続けます。結果として手数料が積み重なっていく要因となります。
例えば月々のリボ払い3,000円で年利15%として10万円の商品を購入したとします。翌月の手数料(30日の場合)、
手数料=購入金額(残高)x15%x利用日数÷365(うるう年は366)
で計算(元利定額の場合)されますので、この場合、
手数料=10,000✕0.15✕30÷365=1,232円(手数料)
返済額は3,000-1,232円=1,768円(返済元金)
となり、初月の返済額のうち、41%が手数料を占めていることになります。つまり、本人は3,000円払ってますが、返した金額は1,768円なのです。
翌月は、残りの98,232円に対して手数料が掛かります。
元金を定額返済する方法(定率リボルビング)もありますが、これは元金を一定にして手数料を上乗せする方式です。例えば毎月1万円を返済し、それに手数料を上乗せして支払うことで、毎月の返済金額が違いますが1万円ずつ返済するので、10か月で完済することになります。
リボ払いの手数料を安くするには
毎月送られてくる支払明細書やアプリの明細に表示されている残高や金利などを把握しておく必要があります。
特に複数の買い物をしている場合などは、元金の返済額がどの位毎月充当されているか確認し、可能であれば、一括返済や、臨時に増額返済をする。他社の低金利ローンへ1本化して借り換えし、手数料を抑える必要があります。
なお、借り換えにあたっては、当然審査がありますので、すでに延滞、遅延がある場合には、難しい場合があります。
リストラなどの収入減による生活費への補填
思わぬ急な出費が原因
リストラや病気などでの収入減や思わぬ急な出費があると、やむを得ず借金に頼ることがあります。返済の目途があれば良いのですが、借金を繰り返して返済額が積みあがる場合は要注意です。
事前に保険や貯蓄があれば問題ないのですが、日々の生活で精一杯で貯蓄等に回せてない家計が多いのではないでしょうか?
なぜ、借金が増えるのか?
人は生活レベルを急に下げることが難しく、収入に対して出費を下げられないことが多いです。
これはラチェット効果と言われ、一度上げた生活水準は簡単には下げられなくなるからです。
特に、家賃や食費などの固定費は手を付けるのが難しく、安易に借金に頼りがちになります。
生活破綻の例
会社の業績不振により、給与が大幅にダウンとなり、生活費を借金で賄わざるを得ず、借金が膨れ上がった人もいます。
突然の病気で、入院を余儀なくされ、社会保険の休業補償を受けても、給与の6割程度のため、残りを借金で補填する場合もあります。また、通院などで出費が掛かることもあり、完治までに長期間を要した場合などは、借金額も多額になる可能性があります。
やはり十分な補償のためには、事前の保険加入や貯蓄がないと、厳しい状況に置かれてしまいます。
公的支援の活用と生活レベルの見直し
収入減のきっかけとなる公的支援である失業保険、労災保険、傷病手当金、生活保護など様々な制度があります。使える制度がないか検討し、可能であれば申請する必要があります。
また、支出を見直し、出費を抑える努力も必要になります。そのためには、毎月何にいくら使っているかの支出の内訳を把握しておくことが必要です。
ギャンブルや浪費による借金
どう改善すべき
ギャンブル依存症では、自分をコントロールすることができないので、家族などの第三者のサポートが必要になります。
浪費癖がある人は、毎月家計簿をつけ、毎月の収支を把握して、使えるお金を予算化すべきです。自分でつけるのが困難であれば、家族など信頼できる人の手助けをしてもらいましょう。
浪費している理由
ギャンブル依存症であったり、ストレス発散で浪費癖がある人は、借金が膨れ上がる傾向になります。特にギャンブル依存症では、負けを取り返すために、他から借金してでもやろうとする結果、更に借金を増やしてしまいます。
ギャンブルでは、胴元があらかじめ取り分を決めて残りを分けるのが普通ですから、継続的に勝つことは無理なため、ギャンブルで勝ち続けるのは無理だという認識でいましょう。
浪費癖のある人は、欲しいと思ったら、後先考えずに購入してしまうことも問題です。見栄のために、収入と差がある身の丈に合わない出費なども生活を破綻に導きます。
解決すべき点
ギャンブル依存症では、自己解決は難しいため、家族などの第三者のサポートが必要になります。しかし、家族だけでは解決するのが難しいため、心理療法などを行う専門機関などを受診することが大事です。医療機関での診断で依存症と判断できた場合は、保険3割負担で治療が受けられますので、相談して下さい。
浪費癖のある人も病的な方は、心理療法などが必要になります。治療についてはこちら。
買い物依存症がひどい場合も治療が必要なレベルであれば、受診をお勧めします。またそこまで重傷でなければ、1か月の収支を家計簿をつけて把握し、自由に使えるお金がいくらなのか知り、予算化して無駄なもの買わない努力をする。買い物以外の趣味や興味を持つ努力も必要ではないでしょうか。
投資や副業の失敗
投資の知識不足に付け込んだ詐欺的投資や高額な収入を謳った情報商材など、危険な副業には迂闊に手を出してはいけません。かえって借金が増える可能性があります。
リスクの高い投資や副業に手を出してはいけない理由
投資は、ある程度の知識が必要で、自分でリスク分析を行い、購入の可否を判断出来なければなりません。つまり自己責任で行うもので、他人に勧められて購入することは非常にリスクを伴います。
さらに投資は長期的ビジョンに立って行うもので、短期的に収益を狙う投機とは異なる事を理解しておく必要があります。
また、最近では在宅ワーク出来る情報商材の広告も目立ち、高額収入が可能として販売されてますが、経験のない分野での副業には、知識もないことから判断出来ず、相手の話をうのみにしてしまいがちです。
特に高額な初期投資が必要なビジネスは、失敗した時のリスクも大きいため、慎重な判断が求められます。
投資や副業の失敗例
一例として、FX取引は為替差を利用して売買を行い、収益を得る方法ですがレバレッジ(少ないお金で大きな金額が動かせる)がかけられるため、高額な利益が得られますが、失敗すると高額な損益もでます。
知識もなくやると、預けた保証金以上の損金が出た場合の補填をするために、資産がなければ借金する必要が出ます。
また、サブスクリプションサービスを提供することで毎月安定した収入が得られるとの広告でスクールの会員を募集し、高額な授業料を払ったものの、アフターサービスもなく、実際には収益化出来ず、借金だけが残る場合があります。
初期投資や副業の注意点
経験のない分野、基礎知識を持ち合わせていない情報不足で相手からの耳障りの良い点だけで判断するのは危険です。
リスクとリターンがどの程度あるかを事前に良く調べ、信頼のおける情報を得ることが必要です。
可能であれば、利害関係のない第三者で経験や知識を有する方からの情報が望ましいです。
借金の根本原因と解決策と再発防止
債務整理は借金返済の有効な手段ではありますが、その根本原因を理解せず、同様の生活を続けると借金の再発が起きかねません。しっかりと原因を究明して改善していく事で、同じ過ちを繰り返さずにすみます。
特に債務整理後は、返済後や免責から5年~10年程度の事故情報が信用情報機関に記載されるため、新たな借り入れが出来ません。
家計簿をつけ、毎月の収支を把握し、急な出費にも耐えられるよう、貯蓄できる環境を整えることが大事です。少なくとも2,3か月分の収入と同額の貯蓄が出来れば、精神的にも余裕が感じられるようになるはずです。最初は難しく感じるかもしれませんが、家計簿も細かくつける必要はなく、ざっくりと1日でどの位使ったか、1か月後に食費、家賃、水道光熱費、保険等、項目ごとの金額が把握できるだけでも、お金の使い道を知りましょう。
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